BLACK TIE WHITE NOISE

有閑吸血鬼、再び

ティン・マシーンの活動終了後の93年5月、ソロ復帰第一弾の宣伝コピーが躍る『Black Tie White Noise』がリリースとなった。ソロ名義では『Never Let Me Down』から約6年ぶりとなるわけで、待望の新譜はジャズやファンクを下地に洗練を極めたサウンドとプライベートで再婚を経てすっかりダンディな男性に落ち着いたボウイの破綻なくまとまった仕上がりだった。シングル「Jump They Say」やタイトル曲も魅力的で、セールス的にも成功してはいるのだが、優雅というのはボウイには似合わないのかもしれない。

プロデューサーには『Let's Dance』で成功を導いてくれたナイル・ロジャースを起用し、参加ミュージシャンにはレスター・ボウイやジャズ畑の人脈、タイトル曲でヴォーカルを聴かせるアル・B・シュア、ジギーのあの時代以来の顔合わせとなったミック・ロンソンらで布陣を固めた。レコーディングの様子やボウイのインタヴューが同名のドキュメンタリー・ヴィデオ（再発のスペシャル・エディションDVDに収録）で観ることができるので一度探してみてほしい。
本作ではクリームの「I Feel Free」やスコット・ウォーカーの「Night Flights」などをカヴァーしているがいい意味でも悪い意味でも渋いのだ。

初回限定盤にはポスターが封入。03年9月にスペシャル・エディションと銘打った3枚組の完全版もリリースされる。これにはアルバム未収録曲やリミックスなどを含むボーナス・ディスクとドキュメンタリー映像を収録したDVDが加えられており、さらにデジタル・リマスターで音質も格段に向上しているので、可能ならばスペシャル・エディションを求められたし。

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